糖尿病とは?
糖尿病とは、慢性的に血糖値が高い状態を指して言います。
私たちが食事をすると、糖質が体内でブドウ糖に分解され、血液によって全身に運ばれます。その際にすい臓から分泌されるホルモン「インスリン」の働きによって、ブドウ糖が細胞に吸収されるのですが、何らかの原因によってインスリンの働きが悪くなったり、分泌量が減ったり、全く分泌されなくなることがあります。吸収されないブドウ糖によって、血糖値が高い状態が続き「糖尿病」と診断されます。
1型糖尿病、2型糖尿病、遺伝子の異常や他の病気が原因となる糖尿病、妊娠糖尿病の4つに分類され、治療法も異なります。近年、生活習慣を主な原因とする2型糖尿病が急激に増えているのが問題となっています。
糖尿病にならないようにするには?
アメリカで実施された、糖尿病の予防研究では、一定以上生活習慣を改善した人(7%以上の体重減少+週150分以上の運動)には、糖尿病の予防効果が認められました。
また、フィンランドで実施された研究では、過体重、肥満で耐糖能異常(糖尿病予備軍)の人が、下記の通り実践すると、糖尿病になる確率を抑えられたという報告がされています。
- 5%以上の体重減少
- 脂肪を、総エネルギーの30%未満にする
- 飽和脂肪酸を、総エネルギーの10%未満にする
- 食物繊維を1000 kcalあたり15g以上摂取する
- 1日30分以上の運動をする
糖尿病にならないようにするためには、バランスのとれた食生活、適度な運動習慣、適度な体重減少に並行して取り組むことが、もっとも効果的です。
糖尿病が引き起こす合併症
糖尿病には、いくつもの、それも重篤化のリスクを持つ合併症があります。
特に、「神経障害」「網膜症」「腎症」は糖尿病の三大合併症とも呼ばれています。いずれも、進行すると日常生活に多大なる影響を与えるものですので、もし糖尿病になってしまったら、できるだけ早期に治療を開始し、合併症を予防する必要があります。自覚症状がない方も、予防意識を高める意味でも、定期的に受診されることをお勧めします。
糖尿病神経障害
糖尿病神経障害は、比較的早期に発症する合併症です。
末梢神経での障害により、痺れ、感覚麻痺が起こります。その他にも、身体に力が入らない、胃腸の不調、めまい、発汗異常、EDなどの症状が現れます。
糖尿病網膜症
目の網膜の血管で障害が起こり、視力低下を招きます。最悪の場合には失明に至る、おそろしい病気です。
定期的に検査を受けながら、症状をコントロールしていきます。また、白内障リスクも高まると言われています。
糖尿病腎症
腎臓の中にある毛細血管での障害により、尿を作る腎機能が低下してしまうのが「糖尿病腎症」です。体内の毒素を外へ出すことができなくなり、週2~3回の、病院での人工透析を強いられることになります。
糖尿病の治療
適切な検査を受けた上で、食事療法、運動療法、薬物療法を組み合わせていけば、血糖値のコントロールは可能です。また、タバコやアルコールを控えれば、さらに血糖コントロールはうまくいきます。
HbA1c(NGSP)を6.9%未満で保てば糖尿病の合併症が起こりにくくなると言われています。当クリニックの医師が患者様一人一人に合った治療をご提案しますので、お一人で悩まずに、お気軽にご相談ください。
合併症が進行してから糖尿病が発見された場合も、同様に血糖コントロールに取り組むことで、合併症の進行を抑えることが可能です。
いきなり運動を始める、すべての食事を完璧なメニューにするということではなく、生活習慣を少しずつ「移動」させるイメージで変えていき、糖尿病と上手に付き合っていくことが大切です。